東日本大震災Q&A
こちらのページは2011年3月11日に起きた東日本大震災での浦安での液状化現象による地盤や建物への被害に対して、復旧の方法や今後の方策を検討できるように掲載した内容です。同クラスの地震が起こった際に、再び液状化現象が起こることが予想されています。起きてしまった地震の被害を今後の備えにつなげられるよう、2011年当時に掲載した内容をこちらに残すことにいたしました。今現在の情報とは異なる部分がありますが、過去の記録としてご利用ください。
Q1.液状化現象について教えて!
- 「液状化現象」ってどうして起こるの?
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埋立地である浦安市は、堤防を作ったところに土砂を流し込み、土地を作っています。
通常は、水で飽和した砂地盤となっていますが、振動が作用することにより、液状となって流動しやすい状態となります。これによって地面に水の道ができ、この水の道を通って液状化した地盤が流れ出し、地上に水と砂が噴出してきます。これが「液状化現象」です。そして地盤沈下が起こります。
- 液状化した後、どうなるの?
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一般的に、液状化により液状下層中の砂と水が地上に排出され、その部分は地盤が下がります。
また、水分が抜け、地震時の振動により多少締め固まります。
その為再液状化はしないのでは?と考える方が多いのですが、過去の震災のデータによると再発する事が多いので、再度液状化する可能性は高いと考えられます。
- 戸建とマンションの液状化被害の違い
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水で飽和した粒径が均一な柔らかい砂層が、地表面から20m程度の深さまで存在する場合、液状化しやすいと言われています。
今回の地震で、マンションと木造住宅( 戸建) において、液状化による傾きへの影響が大きく異なりましたが、それは建築時の「支持方法」の違いによるものです。【木造住宅】
住宅等の軽い建物は、一般的に上部の柔らかい土地に基盤を設けています。液状化防止策を講じない限り液状化の影響を大きく受けます。
【鉄筋コンクリート造ビル】
マンション等は、一般的に杭を固い地盤まで設けています。
液状化時に建物への影響はほぼありませんが、敷地の沈下等による共用部分への被害は起こる事があります。
Q2.地盤沈下でお家が傾いてしまった!どれくらい傾いていると危険なの?
「品確法」の考えは、長期にわたり使用される住宅において、一定以上の品質を保つことです。
つまり、生活上問題があるかどうかです。
- 品確法では家が1mに対し、傾き6mm以下であれば問題がないとされています。
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傾き
(%)1mあたりの沈下量
(mm)内容 備考 問題なし 0.3未満 3未満 施工誤差の範囲 品確法の規定内 生活上問題が生じる可能性がある 0.3以上
0.6未満3以上
6未満床に不陸が生じ、犬走りなどの土間コンクリートに亀裂が入る 0.6以上
1.0未満6以上
10未満壁と柱の間に隙間が生じ、内装に亀裂が生じる
外構ブロック塀などに被害が生じる1.0以上
1.5未満10以上
15未満柱が傾き、建具の開閉が困難になる
床が傾斜して支障が生じる建築指導課でのAランク相当 構造的に問題が生じる可能性がある 1.5以上
5.0未満15以上
50未満柱の傾斜が著しく倒壊の危険がある
床の傾斜もひどく使用困難である建築指導課でのBランク相当 5.0以上 50以上 倒壊の危険が高い 建築指導課でのCランク相当 参考文献:住宅の点検と補修/ ホームインスペクターテキスト
Q3.液状化後の不動産相場って、どうなるの?
- 震災後、数ヶ月は通常のように不動産が活発に取引される事はまず考えにくいです。
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唯一取り引きされるのは、投資目的の取り引きのみで、価格は相当低くならざるを得ません。こんなものは相場と呼べるものではありませんので、冷静に対応する必要があります。
阪神・淡路大震災の時の住宅地の平均下落率は5~10%と、そこまでの下落はありませんでした。
しかしながら、時はバブル崩壊直後であり、全国的に地価が値下がっていた時でもあります。
当時の神戸住民の感覚的には、「しばらくは取引が無かったが、その後あまり関係ない価格で取引がなされていた。」という話もあり、復興需要と相まって相場は大きくは変動しな かったと考えられています。マンション取引に関しても、震災直後1~2カ月程度はパニック による価格下落が多少あったものの、その後すぐに回復したという統計データもあります。
ただし、取引の全体量は震災前の6割程度まで落ち込んだという事実もあり、震災前とまったく同じとまではいかなかったようです。新浦安に不動産をお持ちの方は今後の相場変動が心配で、ついパニックを起こし、今のうちに安値でも売り逃げたいと思ってしまう方もいらっしゃると思います。
しかしながら、正直今は市場が休止状態の為、大きく値下げしても売れるような時期ではありません。過去の震災の例からしても数か月は動きが無いと考え、冷静に対応する時期ではないでしょうか。一部の不動産会社はすでに「半値になるので、今のうちに安くても売り抜けましょう!」と無責任な提案をして値下げを誘発しているようですが、先ほどから申しました通り、当分は買い控えが 大半の中、安値売りを仕掛けてもあまり意味がありません。それどころか、パニックに陥り、投げ売りを始める人が数名出ることで、この複数の投げ売り価格で相場の変動が起きてしまう可能性があります。
「この街並みが好きだ!」「浦安が好きだ!」そう思って住んでいる方が多いと思います。
焦らずに、今は浦安の持つ価値を守ることが大切です。大好きな浦安を、共に守っていきましょう!
Q4.建替え、新築を考えてるんだけど液状化が心配。地盤改良でいい方法はある?
- 「砕石パイル工法」で液状化対策を
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地盤の液状化については、敷地内を液状化対策したマンションでは液状化が低減されていました。
今回戸建てに近い環境である公団系低層マンションで施工されていた「サンドコンパクション工法」は、地盤の液状化をかなり低減できる事が実証されています。
この工法と同様の原理の「採石パイル工法」で地盤に液状化対策を施すことで、現在お持ちの土地の液状化を低減する事が出来ます。「採石パイル工法」はどのハウスメーカーでも施工可能な一般的な工法ですが、提案がほぼなされていないのが現状です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
Q5.お家の傾きを直す方法ってどんな方法があるの?どの方法がいいの?
補修方法は様々です。家の状況や基礎の種類(ベタ基礎・布基礎)、将来設計( 今後建替えをするかなど) により、最適な工法も変わってきます。
業者に相談をするとき、「こんな工法もある」ということを知っておくだけでも最適な工法を選ぶ手段になります。
簡単ではありますが、こちらではいくつかの傾き修繕方法をご紹介します。
※ 金額は木造2階建て建坪15程度の家の、修正幅10cm程度の場合
- 硬質ウレタン注入工法
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基礎下にウレタン樹脂を注入し、その発泡圧力で基礎を押し上げ、傾斜した住宅を元に戻す工法のこと。
【特徴】
- 傾いた家を水平に修正するだけ
- 再液状化した場合は再沈下の可能性あり
- 再沈下後の修正は容易
- ベタ基礎限定
【金額】
300 ~ 500 万円
- グラウト注入工法
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セメント系薬液を家屋下に注入し、注入量と注入圧により、傾斜した住宅を元に戻す工法のこと。
【特徴】
- 家屋下に改良支持層を形成するため、再液状化の危険性を低減。ただし、改良深度が2m未満の場合は液状化の影響を受けやすい
- ベタ基礎、布基礎どちらも可能
【金額】
300 ~ 500 万円
- アンダーピニング工法
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家の基礎下の土を掘り起こし、家の荷重とジャッキの力を利用して地盤に杭を打ち込んで支持させ、傾斜した住宅を元に戻す工法のこと。
【特徴】
- 傾いた家を水平に修正し、再液状化時 の再傾斜を予防
- 支持層まで杭を差し込めれば再液状化しても家は傾斜しない
ただし、想定の支持層が液状化した場合は再沈下の可能性あり - ベタ基礎、布基礎どちらも可能
【金額】
1000 ~ 2000 万円
- 耐圧盤工法
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家の基礎下の土を掘り起こし、固定ベースジャッキを設置し、ジャッキで修正後、地盤との隙間に圧をかけ、傾斜した住宅を元に戻す工法のこと。
【特徴】
- 傾いた家を水平に修正するだけ
- 再液状化した場合は再沈下の可能性あり
- 再沈下後の修正は困難
- ベタ基礎、布基礎どちらも可能
【金額】
400 ~ 800 万円
- プッシュアップ工法
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傾斜した基礎はそのままに、家と基礎を切り離して家だけを水平にして、空いた隙間に木やセメントを詰める工法のこと。
【特徴】
- 住みながらの工事は不可
- 耐震性を高めておかないと倒壊の危険性あり
- 再液状化した場合は再沈下の可能性あり
- ベタ基礎、布基礎どちらも可能
【金額】
200 ~ 300 万円
- グラウト注入 + 耐圧盤工法 複合型
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グラウト注入工法にて、建物の下の地盤を深度3m程度を 地盤改良して再液状化を予防し、ジャッキアップにて建物の傾斜を修正します。
【特徴】
- 傾いた家を修正し、再液状化時の再傾斜を予防
- ベタ基礎・布基礎どちらでも可
【金額】
500 ~ 700 万円
ベタ基礎・布基礎の違い
【ベタ基礎】
基礎の立上りだけでなく、底板一面が鉄筋コンクリートになっている基礎。
【布基礎】
Tの字を逆にした断面形状の鉄筋コンクリートが、連続して設けられた基礎のこと。
以前は、木造住宅の基礎としては布基礎が最もポピュラーでしたが、近年の建築ではベタ基礎が主流になっています。
家を建てたときの図面を見ればどちらの基礎か判別出来ます。
明和地所が推奨する工法
弊社が推奨する工法は、
【硬質ウレタン注入工法】
【グラウト注入 + 耐圧盤 複合型工法】
考え方としては、「沈下修正」と「地盤改良」を分けて考えます。
1.は、「沈下修正」だけを行い、「地盤改良」はせずに地震保険に加入する事で再液状化による損失をカバーする考え方です。
2.は、「沈下修正」と「地盤改良」を一度に行い沈下と液状化の再発防止に努める考え方です。
Q6.今後、大きな地震が来たときに浦安はどうなるのか心配です。
- 浦安の震災シミュレーション
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注:こちらのシミュレーションは東日本大震災以前に内閣府が公表した資料を元に作成されています。平成25年に内閣府が発表した被害想定とは異なっております。
「浦安は危険だから離れたい」という考えをお持ちになった 方もいらっしゃることでしょう。
しかし、この考えは本当に正しいのでしょうか?「首都直下地震」「東海地震」、この二大地震が、私たちが備えなければならない災害です。
内閣府の防災資料によると、この二大震災で最も危険なのは火災と建物の倒壊です。ところが、いずれの地震でも液状化による死者はゼロ。特に、「首都直下地震」においても新浦安の建物倒壊はほぼゼロ。
液状化は経済損失はあれど命の危険性は無いのです。これは、液状化による地盤の免震効果の恩恵ともいえます。液状化や埋立地のマイナス面ばかりが強調されていますが、実はプラス面もあり、液状化の免震効果による建物倒壊の低減、埋立地特有の区画整理がなせる火災リスクの低減などがこれにあたります。
また、東海地震による津波の大きさは1m以下と予想されています。新浦安の海抜は2~3m、防波堤の高さは6mあり、想定の6倍まで耐えられます。「東海地震」による津波の危険性もほぼありません。
防災を考えるのであれば、液状化対策さえしっかりとしておけば首都近郊で浦安ほど安全な街はありません。
一時の感情やメディアの情報のみに流されず、私たちはなぜ浦安市に惹かれ、移り住んできたのかを今一度思いだす必要があります。首都直下地震 発生予想
200年~400年の周期で繰り返し発生していると考えられている。
活動期・静穏期の周期表を見ると、2000年頃から活動期に入っている可能性が高く、2007年(平成19年)~2036年(平成48年)の間には70%の確率でマグニチュード7クラスの地震が発生するとの想定がされている。東海地震 発生予想
東海地震の想定震源域では概ね100~150年感覚で大規模な地震が発生している。
現在、1944年に起きた東南海地震で歪みが開放されず、安政東海地震(1854年)から156年間大地震が発生していないため、相当な歪みが蓄積されていることから、いつ大地震が発生してもおかしくないと見られている。
しかし、東海地震は唯一直前予知(地震前兆現象をとらえる)可能性があり、事前避難・交通規制等の対策を練ることができる。
Q7.公的支援はどのくらいもらえるの?
- 被災認定条件の緩和により、公的支援が受けやすくなりました
- 液状化によって被害を受けた住宅への新たな支援策が5月2日に打ち出されました。
国の被害認定基準を液状化による傾斜への被災認定の条件を緩和。これによって旧基準では浦安全体で8棟しか公的支援が無かったところ、約3千棟以上で公的支援を受けられるようになりました。また、千葉県が県独自の住宅再建支援制度として、国からの支援金の支給を受けられない被災者に対して最大100万円の復旧支援を発表しています。これで一部損以上のり災判定があれば、沈下修正や建替えをする場合に約100万円は支援が下りる予定になりましたので、本当にありがたいことです。
り災判定 変更前 変更後 解体・建替 修正 全壊 6cm 以上 6cm 以上 300万円 250万円 大規模半壊 – 2cm ~ 6cm未満 250万円 150万円 半壊 – 1.2cm ~ 2cm未満 200万円 100万円 一部損壊 6cm 未満 1.2cm 未満 100万円 100万円 ※1.2mの下げ振り測定による調査数値
※赤文字は千葉県制度による支援の最大額
Q8.家の傾斜修正は、いつやればいいの?
- 健康を一番に考えたら、すぐにでも修正することをお薦めします
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「沈下修正工事の時期」、これは一番多く聞かれた質問です。
多くの建築士やハウスメーカーの見解
「3カ月~1年は待ってから直した方が良い」
なぜなら、「せっかく直した家が、余震でまた傾いてしまったらもったいないから。」
お金のことだけを考えるとその通りで、余震が収まってから直した方がいいに決まっています。しかし私どもは、「今すぐ修正した方が良い。」と全く逆の事をお伝えさせていただいております。
明和地所の見解
「今すぐ修正した方が良い」
なぜなら、「直した家がまた傾くほどの余震が起こったら、傾いたままの家が倒壊する危険が増す = 命の危険まで発生してしまうから。」今傾いた家がさらに傾いても何の保証も受けられませんが、直したあとに地震保険に入れば、次回の被害には保険で対応できるようになります。
Q9.地震保険に入ろうと思っているのですが、どのタイミングで入ればいいの?
- 地震保険は被害にあった箇所を補修してから、加入することをお薦めします
- 地震保険の判定で「全壊」「半壊」となって保険金を受け取り、沈下修正をされている方が数多くいらっしゃいます。今回地震保険に加入していた人は本当に救われておられるのではないでしょうか。反対に地震保険に加入していなかった方は本当に大変だと思います。
だからこそ、次回の液状化被害に備え、地震保険に加入しなくてはならないと考えております。実は、現在傾斜している家でも地震保険に加入する事が出来ます。ただし、今回被害のあった部位は次回の被災時に免責になってしまいます。
建物の被害というものは、弱い部分に集中的に発生します。つまり、今回被害のあった部分が次回も被害を受けると考えられます。
このため、今回被害のあった部分を修復せずに保険に入っても、実際に被害が起きた時に被害部分が免責になってしまい、保険の意味を成さなくなってしまいます。地震保険に加入するに当たっては、今回被害のあった部分は必ず補修して、正常な状態で加入する必要があります。
建物が傾いているなら傾きを直し、基礎や外壁にひび割れがあるのならひび割れを補修する。そして地震保険に加入する事を強くお勧めいたします。
Q10.地震保険の査定にばらつきがあるのですが?
- 傾きに関しての明確な基準が出来たのは2011年5月30日のこと
- 5月30日に地震保険の液状化に対する基準が明確化されました。
というか東日本大震災までは液状化に対する地震保険としての損害基準そのものがありませんでした。
そのため、初期の損害調査では調査員によって損害の認定にブレが生じていたようです。
実際多くのお客様から、「自宅は一部損だったが、同程度のご近所さんが全損だった・・・なぜ?!」とご相談を頂きました。
再査定に際して、個別にご相談を受けておりましたが、5月30日に日本損害保険協会で傾きに関しての明確な基準が出来ましたので、今後はブレなくこの基準通りとなるはずです。人によっては一部損だったのが、一気に全損にランクアップされる方もいらっしゃいます。
全損以外の判定を受けた方は、もし、一部損などで既に保険料をもらっていたとしても、保険会社に再査定の依頼をかけてみてください。判定 傾斜角 り災証明基準 一部損壊 0.2~0.5度以下 4.2/1200~10.47/1200 半壊 0.51~1度以下 10.48/1200~20.95/1200 全壊 1度超 21.96/1200~