不動産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。譲渡所得のにかかる税金は、給料などの所得とは分けて不動産譲渡所得に所得税と住民税がかかります。この譲渡所得税は売却した不動産をどれくらいの期間所有していたかによって税額の計算方式が異なっています。
譲渡益の計算の元になる「所有期間」は、売った年の一月一日を基準として、取得の日から何年になるかで判断となり、この所有期間が5年を超えていれば、「長期譲渡」5年以下ならば「短期譲渡」となります。所有期間における注意点の例を挙げると、2010年7月1日に取得した不動産を2015年12月1日に売却したとします。この場合、実際に所有していた期間は5年と5ヶ月となります。ところが税法上の所有期間は、売った年の1月1日=2015年1月1日における所有期間となりますので、4年と6ヶ月、つまり「短期譲渡」となってしまいますのでご注意ください。
また、相続した不動産の場合、被相続人が取得した日および取得価額が引き継がれます。被相続人が相続した後の所有期間ではないことにも注意が必要です。
なお、譲渡所得が赤字の場合には課税されません。
譲渡所得の計算方法
※1 取得費 次の①、②の内大きい金額を使います
①実額法:土地建物の購入費用とリフォーム費用や取得経費などを合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
②概算法:譲渡収入金額×5%
※2 居住用の3,000万円特別控除の特例などの自宅の売却時の特別控除
短期譲渡と長期譲渡
所有期間 | |||
長短区分 | 短期 | 長期 | |
期間 | 5年以下 | 5年超 | 10年超所有軽減税率の特例 |
居住用 | 39.63%(所得税30.63%住民税 9%) | 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%) | 1. ①課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%(所得税10.21%・住民税4%) |
2. ②課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%(所得税15.315%・住民税5%) | |||
非居住用 | 39.63%(所得税30.63% 住民税 9%) | 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%) |
※上記税率には、復興特別所得税の2.1%相当が上乗せされています。
住宅には特別税制が用意されている
譲渡益が出た場合、一定の条件を満たせば、以下のような特別な税制優遇を受けることが出来ます。自宅の売却をお考えの方は、自分がどの税制優遇が利用可能なのかを事前に把握しておきましょう。
①3,000万円特別控除の特例
②10年超所有軽減税率の特例
③特定居住用財産の買換え特例
所有期間 | ||||
長短区分 | 短期 | 長期 | ||
期間 | 5年以下 | 5年超 | 10年超 | |
居 住 の 有 無 |
居住用 | 短期譲渡所得 ※3,000万円特別控除 |
長期譲渡所得
※3,000万円特別控除
※居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 ※特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 |
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※10年超所有軽減税率の特例 ※特定居住用財産の買換え特例 |
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非居住用 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
※印は時限処置の特例となりますので、恒久的な税制優遇ではありません。