以前ブログで「成年後見人制度」について書きましたが、最近も不動産所有者に意思能力がなく弁護士が後見人となり取引したケースがありました。
その方は、ご主人もいらっしゃらない。子どももいない。身寄りは遠方に住むご兄弟のみという方でした。ご家族がいない方やいらしても遠方に住んでいる場合などは弁護士を後見人にすることが多いのかもしれませんね。
今回の方のように、ご自身が住んでいた家を売却する場合は、法律で家庭裁判所の許可が必要となります。逆に、他の財産につきその処分が正当なものの場合は、家庭裁判所の許可を受けずに後見人の判断で処分することができるということです。
住んでいるあるいは住んでいた家を処分してしまうと住む場所がなくなってしまうからなのでしょう。
その取引の時に弁護士に「最近は後見人制度の依頼は増えているのですか?」と聞いたところ、「確かに以前に比べて増えています。今後ますます増えていくのではないでしょうか。」との答えでした。高齢化が進み核家族が増えれば今後もふえるのでしょう。
そこで気になった記事が目に留まりました。
読売新聞(2015年12月20日の記事)
依頼者らの財産を着服したり、だまし取ったりした弁護士が過去3年間で23人起訴され、被害総額は20億円超に上ることが、読売新聞の調査でわかった。
背景には弁護士数の拡大や、成年後見人として高齢者の財産を預かる弁護士の増加があり、23人のうち9人は後見人だった。着服金を返済しないケースも多く、日本弁護士連合会は弁護士への信頼が崩れかねないとして、被害者に一定額を給付する救済制度の検討を始めた。
もちろん、ほとんどの弁護士は依頼人の立場に立ち業務をしてると思いますが、その一方で記事のようなことも起こっているのです。悲しくなる記事ではありますが、今後後見人制度による不動産売却が増えることを考えますと、注意深く取引を進める必要があると考えます。