今回は法定後見の種類のうち「保佐」について書きたいと思います。「保佐」とは本人の判断能力が著しく不十分な状態のことをいいます。「後見」の本人判断能力が欠けている状態よりは判断能力の程度は軽いということでしょうか。
法定後見の種類には「後見」「保佐」の他に「補助」という種類もあります。「補助」は本人の判断能力が不十分な状態を言います。保佐より更に判断能力の程度が軽い場合でしょう。
「後見」は成年後見人が,本人の利益を考え,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができるものです。
「保佐」は一定の行為について家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。
認知症患者で症状がまだ軽い場合などは保佐制度が適用されるようです。後見人の代理権ではなく保佐人には同意権が与えられます。
現在被保佐人の方からご相談を頂いています。相続に向けて不動産を購入したいとの相談です。保佐人の方とも話しましたが購入したいという物件が出てきても裁判所の許可が出ないと購入できないので時間がかかり購入できないケースもあるということでした。
ここまでは良くある話で・・・
実はこの方、睡眠薬の副作用により判断能力が不十分だと判断され保佐人の選出となった可能性があるということなのです。それを証明することは非常に難しいことではないでしょうか。
医師や司法書士などは長谷川式認知症評価スケールにより認知具合を確認することが多いようです。
このスケールを使う時にその方の体調などにより判断能力が著しく不十分だと判断されることもあると思います。一度保佐人が選出されてしまうとそれを取り消すには時間と労力がかかるということです。
今回ご相談いただいている方は先日お会いした際には私の顔を見て私の名前をフルネームで呼んでくださいました。最後にお会いした時から既に10年は経っています。しっかりされているなというのが私の印象でした。それでも保佐人の同意がないと不動産の購入はもちろん預金を引き出すこともできません。
この方は今後裁判所に保佐人の取り消しを申請することになりそうですが一度選任された保佐人を解任することは非常に困難なことだと思っています。
見守るしか私にはできませんが、今後の動向を見ていきたいと思います。
「補助」につきましてはまた機会がありましたら書こうと思います。