スタートアップ大国イスラエル見聞録
イスラエルに行きました
危険もあるか、と「万一私が死んだ時は、全ての資産は妻に相続させる」という趣旨の遺言書を書いて妻に渡しておきました。死海でポカポカと体が浮く浮遊体験をした夜中、ホテルの上空を轟音を上げてゼット戦闘機が三台飛んでいくのには「すわ、戦争が起きたのか?」と驚きましたが、「戦時に備えての平常の訓練飛行だ」と聴き、「なるほど、隣国エジプトとヨルダン以外のアラブ諸国とは敵国状態が続いている国だから常に軍事訓練をしているのか」と日本と違う国柄を少し感じました。
また、イスラエルへの入国時とエルサレムの場内に入る時等には銃を持った兵士に厳しくチェックされましたので、この国の置かれた厳しい状態故に「兵士により平和が守られているのだ」と感じました。しかし、テルアビブから砂漠地帯のキブツ(共同農園)やエルサレムの遺跡、サーバーパーク、イノベーションセンター等を視察する旅行中「身の危険や物を盗まれる危険を感じた瞬間はなく」旅行者にとってはアメリカやフランス、イタリアよりも安全な国でした。
ただ、日本が今、北朝鮮からミサイル攻撃の危険にさらされていることを考える時「憲法9条の平和主義を主張するだけで、軍隊を持たずに日本国民の平和が守られるのか、大いに疑問がある、皆で考え備えなければならない」と実感しました。
世界中の国と企業からお金が集まっているイスラエル
今やイスラエルは「テクノロジー大国」「スタートアップ大国」となり世界中の国と企業からお金が集まっていました。
四国ぐらいの面積に850万人の人口ですが「スタートアップ(創業したばかりの企業)」が年間1,000社位できて、100社位が世界中の企業からM&A(企業ごと購入)されています。どうしてそうなったかは以下のようなことでした。
ユダヤ人の国イスラエルは、アラブと西洋とアフリカの交易路の真ん中に位置している為、ペルシャやトルコやエジプトやローマやイギリス等のその当時の強国に攻められて奴隷にされて「国土を持てない2000年の長い悲しい歴史」の末に1948年にようやく独立することができた「建国して60年の若い国」です。
しかも、イスラエルは、年間降雨量は200mm~400mmしかない為に国土の半分以上が砂漠です。地下資源もないので、まずキブツ(共同農場)でたまたま降った雨水を集めて貯水池に貯めて砂漠に水を引き、作物を育てるところから始めて、今や食料自給率90%を賄えるようになっています。
次に産業は850万人しか居ない自国内では伸びしろに限界があるので、世界中に住む1400万人のユダヤ人を通じて世界市場に売れる仕事として「ハイテクノロジー産業」を目指しました。相次ぐ戦争で発達した軍事産業から応用した通信技術、セキュリティー技術が優れており、画像処理・半導体・金融関連のブロックチーンやビットコイン関連技術・センシング技術・サイバーテクノロジーや農業技術等々の「ハイテク産業」を世界中に売れる所まで発展させたのです。
これらの産業を伸ばせた理由は、イスラエルの歴史と教育制度にありました。イスラエルは4次の中東戦争を勝ち抜いた結果軍事産業が発達していましたし、高校を卒業すると、男子は3年・女子は2年間の兵役があり、ここで徹底的に軍事産業に関する教育をする中で上記の通信系技術やセキュリティー技術の実地教育と共同作業の訓練をします。よって卒業するとすぐに起業できる位のハイテクに関する知識と経験を積むことになります。ある者は更に専門の研究をする為に大学に進み、ある者はスタートアップすることができるのです。
更にイスラエルでは、スタートアップ(企業を立ち上げること)の申請をすると、1事業に就き300万~500万の支援金が政府から供与されます。一人で3つの事業をするとなれば900万~1500万円が供与されるし、共同経営者と組んだ企業にすればその供与金も重なって増えるのですから、まず企業を始めるに必要なお金が手に入ります。
また、徴兵中に学んだ軍事産業の知識を「軍事産業以外に応用する限りは、軍事産業の知識や経験を使った産業を始めることが許されている」のです。
その歴史を見ると、70年頃から多くの若者がアメリカのシリコンバレーに行き90年頃からハイテク技術を身につけた若者が帰国してイスラエルで活動を始めました。90年以降には、イスラエルにはユダヤ人の優秀な技術者が育っていることを知っているユダヤ系のグローバル企業であるインテルやマイクロソフトがR&D(研究開発機構)の本拠をイスラエルに置き始めています。
00年以降になるとアマゾン、フェイスブック、オラクル、グーグル、コダック、シティバンク、GM、モトローラ等のグローバル企業のR&D拠点が進出ラッシュの状況となったのでした。
そうなると、優秀な事業と優秀な技術者の奪い合い状態となったので、R&Dだけでなく、「アクセラレータ」(支援企業側は、自社で必要とする事業を伝えて、事業の進め方や資金調達の仕方等の指南をして、少ない資金で少しだけ株を買い、事業化に成功したらR&Dで買取り、自社に必要な技術と人材を早く確実に手に入れることができるというスタートアップ支援」をするようになったのです。
この支援方法で、スタートアップ企業は、グローバル企業の支援を受けて早く成果を出すことができるようになり、早い企業では1~2年で自社をイグジット(売却または上場)で大金を受け取ることができるようになります。そのお金で次の事業に取り組むことができるし、ある者はスタートアップ支援側に回ることができるようになるという循環システムが出来上がり、スタートアップ大国になったのです。
それを見た世界中の国から、2010年以降にはイスラエルのスタートアップ企業と人材を求めて、R&D(研究開発)拠点がイギリス、ドイツ、インド、中国からも集まり、優秀なスタートアップ企業の買取と企業支援システムが更に充実して、今や世界中の国と企業からお金が集まる状態になっています。
日本も、遅ればせながら15年に安倍首相が経済使節団を伴って訪問し「イスラエルで0~1を、日本で2~10の関係を創りましょう」と言ってから日本の企業もトヨタITC、村田製作所、武田薬品工業、住友商事等が進出の動きを始めていました。
その他、イスラエル訪問後日本人で活躍している企業としては、佐藤航陽氏率いる人工知能を活用したアプリ収益化プラットホーム「メタップス」やオンライン決済サービス「スパイク」を立ち上げたメタップスが世界展開しています。
岡田満雄氏率いるCapy(キャピー)は不正ログイン対策ツール「Capyパズルキャプチャ」のサービス提供をして国内大手企業を中心に採用が進んでいます。(「スタートアップ大国イスラエルの秘密」加藤清司著 洋泉社刊 参照)
イスラエルは観光大国でもありました
世界の三大宗教と言われるユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地がエルサレムにはあり、エルサレムの城壁の中にイスラム教とユダヤ教・キリスト教・ギリシャ正教の教会が併存しており、ユダヤ人区域にはユダヤ人が、パレスチナ区域にはパレスチナ人が住みついて店を出しているのには驚かされました。
それに、その店舗街の中にあるキリストが処刑場へ歩かされた「悲しみの道」を歩くこともできました。この城壁を守っているのは銃を持った軍人で、パレスチナ人の反乱を恐れてか軍隊にはユダヤ人しか入隊できないそうです。
イスラエルではユダヤ人75%とパレスチナ人25%が住んでいますが、いずれもイスラエル人であり、それなりに仲良く共存しています。しかし、居住区域は明確に分かれていて、パレスチナ人区域はアラブ式の大家族制に従って3~4階建ての大きな一つの家に三世代何十人が住んでいて、家の周りに木が少なく街並みはゴチャゴチャして生活は貧しそうに見えました。
それに比べて、ユダヤ人の街は木や花が多く整然と整った美しい街並みで、豊かさが判りますし、夜に外を歩いても何の危険も感じませんでした。両方の人種が違う宗教と違う生活様式の中でそれなりに併存している平和は「ユダヤ人の強力な軍事力によって守れている平穏」なのだ、ということでしょうか。
そんなイスラエルですが、パレスチナ区域では女子高校生にハートマークと投げキスを貰いましたし、アダバットの泉でユダヤ人の綺麗な娘さんに木の葉(土地に塩分が多いので食べると塩気があった)を貰ったりしたので、イスラエルに住む若い娘さん達は平和で人心が穏やかであることを感じました。
また、地中海側にはローマ時代のコロシアムや競技場の跡、水道橋等は修復されていますし、ギリシャ、ローマ時代以降の遺跡が今も発掘され続けています。死海ではプカプカと浮かんで本を読むこともできました。
イスラエルは、遺跡の宝庫であり、且つ三大宗教発祥の地であり、年中温かいし、2~3時間で来ることができるヨーロッパからの観光客で溢れていましたし、日本人には「テロが多い危険な国」との認識が常識化していますが「身の危険も盗難の危険もない観光天国」でもありました。
「スタートアップ大国」「テクノロジー大国」になったイスラエルを、これからの日本を背負う若い人には是非一度は行って見て貰いたい、ですね。恐らく「今後の日本という国の将来像や自分の生き方が変わる位の衝撃的な旅」になること確実です。
イスラエルの旅で、日本に活かせる知恵はあるか?
「イスラエルは核爆弾を持っていると思いますか?」
原子力研究所はありますが、原子爆弾があるか無いかは公表されていません。しかし、ハイウエーの横の広大な土地に原子力研究所があることを見せつけていますので「イスラエルの軍事力は恐ろしい、敵国にしたくない、と思わせるには充分な構え」でした。
どこかの国のように核兵器を持っているぞ、攻撃力があるぞ、と叫んでいる国とは大分違いますね。核爆弾は、持っていても使えない・戦争をしない為の道具です。もし使ったら相手国も使いますので、その時は自分の国も殲滅されてしまうからです。
イスラエルがハイテクノロジー大国になった理由
それは「国を護る為に発達した軍事産業から平和産業への応用ができたから」でしょう。
何故なら、現在の軍事力はハイテクノロジーの固まりであり、アメリカのシリコンバレー発の発展もイスラエルがハイテク大国になったのも、いずれも軍事産業からの応用技術だからです。日本も北朝鮮の脅威に対抗して日本を守る為には、軍事力をアメリカに頼っているだけではなく、日本独自の軍事力とその為の軍事産業の発展を必要としている時かも知れない、と感じました。
イノベーションセンターで説明を受けた事業の中で特に面白かったもの
それは空気中から10秒でコップ一杯の飲み水を作る装置で、これは戦車の乗組員が暑くて水を飲みたい時に、クーラーから出る水を飲んでいたことから発明された装置でした。「どうして空気から水を創れるのか?」と聴いたら、「砂漠地帯でも20%位の水分はあるので、その空気中の水分から創るのだ」という返事でした。日本では湿度が高いのでこんな発想は出てきませんが、砂漠で水がない所で困り果てた末にこんなこともできるようになったのです!
又、飲み水や砂漠に作物を育てる為配水設備やコンピューターで定期的に植物に排水する配水管装置等はすでに日本にも輸入されていましたが、これは朝ガラスに水滴が付いていることから発見された装置だそうです。
更に、砂漠の中に人間が植えた木や花や野菜が育てば、そこに蜂を飼い蜂蜜を作る仕掛けもできていました。国土の60%が砂漠という悪条件の中で、飲み水も食料も100%の自給率にこぎつけたイスラエル人の努力を見ると、必死になった時の人間の凄さを感じずには居られませんでした。
右の写真は、後輪にバネ式のクッションが着いていて、階段や凸凹道もスムースに走る電動車椅子です。 世界一の車を作れる日本で、世界一不便な車椅子しか造っていないのですから悲しくなりました。 誰か本気でこんな車を作って下さい。
ピルカメラ(飲み込んで写す内視鏡) 胃カメラのように堅い管を必要としないので、苦しくなく胃だけでなく小腸・大腸までも写すことができる優れものです。日本にも輸入されていますか。
ところで今の時代背景を考えると、90年代にインターネットが爆発的に普及し、00年代に携帯電話とデジカメ、10年代にスマートフォンが圧倒的な勢いで全世界に普及したように、いつの間にか多くの人が当たり前のように利用するようになるのが現代です。20年代には自動運転やIoT(すべての物がインターネットにつながる)になっているのではないでしょうか。
「物造り大国を自認する日本」について考える時、国境を越えて製品・技術が販売される現代は、製品が生まれてから世界を席巻するまでの時間が人類史上もっとも早くなっているのですから、何処よりも早く製品を最初に作り出さなければ組織自体の存亡に係わる時代となっている、ということです。
ところが日本では、「縮み思考」に陥って、安定感がある大手に就職することばかり考えている感がある日本の若者、20代~30代で若くしてスタートアップ(創業する)ことを諦めている若者達が、「これをやりたい!」「こんな製品を作りたい!」と思った時にすぐに「創業したくなる支援制度」を作らなければなりません。その点で、この数十年の間に「ハイテク大国」「スタートアップ大国」にのし上がったイスラエルの教育制度や軍事教育の仕組み、スタートアップ支援の仕組み等は大いに参考にできるものです。
浦安市が繁栄を続ける為に、イスラエルから学べること!
浦安市が繁栄し続ける為には、何が必要か
まず基本の考え方として必要なことは、浦安市が日本の企業の本社が集まる首都東京から12km、電車で20分の距離にある交通の便がよい地域であるということから「東京首都圏のビジネスで成功した人が住む街」として「日本一住み易さを整えている必要」がある、ということです。
東京からの交通の便は、快速が停まる京葉線舞浜駅と新浦安駅と東西線浦安駅があるだけでなく、市内のバス便は広い道路を渋滞無く走れるので時間通りに運行していて快適です。比較的大型スーパーが揃っているので日用品の買い物の便もよいし、子供を育てる環境としての学校環境、文化環境も整っています。衛生環境、運動環境、医療環境も整っています。
次に、人口が減少する日本にあっては「若い人が集まる地域」であることが必要です。 浦安市にはディズニーリゾートがあり、東京首都圏の若い人のデートスポットになっており、毎年3000万人の来園者があります。ディズニーに来た人は、入学や入社の機会に「ディズニーのある浦安に住みたい!」と賃貸住宅に入居します。それ故、浦安には37117室の賃貸住宅ができました。その人達の需要を満たす為にコンビニや、飲食店、生活に関連する店舗が沢山できました。この面でも若い人が集まる為の条件が揃っています。
「ディズニーランド以外にも人が来たくなるような魅力的な場所を浦安に創る」ことが必要です
上の写真は、テルアビブの地中海側の海辺のウッドボードです。 海岸に木の板を張り巡らした散歩道ですので、コンクリートの堅さや冷たさがなく、温かい、くつろげる場所になっていました。
浦安の高洲の堤防の外側のコンクリートの部分にこのようなウットボードを貼れば、市民が東京湾を眺める最高の憩いの場所になるでしょう。そこで「凧揚げ大会」や「手持ち花火の会」「子供と一緒の競歩大会」「大声大会」「盆踊り」「海祭り」「魚釣り大会」「カヌー競技の観戦」「ウインドサーフィンの観戦」「ヨットレースの観戦」「花火観戦」等を行えば、楽しいのではありませんか。
また、高洲の船だまりには、本格的な利用ができるまでは「仮の木製の船着き場」を造り、水面まで下りられるようにすれば、海や境川に出て遊ぶカヌーやウインドサーフィンが楽しめるようになります。将来的には「本格的な船着き場」を造り、この場所に「海の見えるレストラン」を建てて美味しい食べ物など食べられるようにすれば、テルアビブのように市民が自慢できる最高に楽しい食事の場所になります。さらに、総合公園と高洲の間に吊り橋を架けて渡れるようにして「愛の架け橋」と名付ければ、若い人のデイトの名所になります。
「海沿いに海の見える浦安レストラン街」を創る必要がある
上の写真は、テルアビブ市内の海辺のレストランです。浦安でも、日の出総合公園や高洲の海に面した場所に、こんな海が見えるレストランを造り、美味しい食べ物が食べられたらどんなに楽しく美味しいことでしょうか。
海岸沿いの土地はすべてと言えるほど浦安市の土地ですので、浦安市民の楽しみと誇りの為に、市有地に民間業者経営のこのような食堂街を工夫して頂きたいものだ、と心底思いました。そうすることで市民は、益々浦安が好きになり、「浦安に来なよ! 海の見えるレストランで、飛び切り美味いもんが食えるぞ~!」と友達、知人に言えるようになり、日本中から人を呼べるようになるでしょう。
そうなれば、海が見えるウットボードで友人と散歩しながら語らい、疲れたら海が見えるレストランで美味しい物を食べて、東京近郊に住む3500万人が「浦安っていいとこだよ~!」「一度行こうよ」となり、その内「浦安に住みたい!」となり、浦安は栄え続けることになるでしょう。 こんな夢を遙かイスラエルの地で夢見てきました。
「魅力的な雇用機会」を浦安市内に創る必要がある
1983年4月にオープンした東京ディズニーランドには年間3000万人以上の来園者があります。(株)オリエンタルランド本社に働く正社員は3361人、準社員は18528人、合計21889人(17年4月1日現在)居ます。更に関連子会社16社と下請会社は100社近くあり、そこに働く従業員数を含めると25826人となります。
ディズニーランドの来場者数は年間3000万人を超えていますので、ホテルは常時満室状態で、ホテル業者は595社、客室数は11000室になろうとしている状態ですので、従業員数も14000人を超えています。
賃貸経営をする賃貸オーナーとして個人・法人が382人、不動産賃貸管理業者は249社、従業員数は1008人、その賃貸を紹介する不動産仲介業者は73業者で従業員数は398人が働いています。その他の生活関連サービス業は405軒、従業員数は20,000人を超えています。 以上の結果はいずれもディズニーランド効果が大きかったと言えます。
また1975年に第一次埋立地(873.4ヘクタール)が完成し、1981年に第2次埋立地(563ヘクタール)が完成し、それぞれ中町、新町として、都市計画通りにリゾート用地や工業用地、住宅地として整備されたので、工業用地には鉄鋼団地231社が入居し従業員数3002人、運送業団地193社が入居し6719人が働いています。
そこで、浦安市全体では企業総数4467社、従業員総数は92437人の雇用機会があります。また、言うまでもなく、浦安は大都市東京までの交通の便も良いので、東京で働く機会は多く、浦安に居住する人の大多数が東京勤務です。それだけでも居住条件は満たされており、個人の所有世帯が35232世帯、賃貸世帯が37117世帯となっています。ちなみに、浦安全体の一般住宅世帯合計は72349世帯、浦安市内の人口は166575人(住民基本台帳17年1月末日現在)です。浦安は、4キロ四方の面積にこれだけの人口が住むコンパクトシティなのです。
「若い人が創業できる場所」を浦安に創る必要があります
浦安市には一つだけ欠けているものがあります。それは、浦安で生まれて、浦安が大好きで、浦安で起業したい人が創業する土地・建物が埋立地域にはほとんどないことです。それは、海を埋め立てた時のグランドデザインに従った都市計画通りには企業誘致が進まなかった為です。
当初は、浦安市と協議しながら都市住宅整備公団が街造りを進めていたのですが、公団の経営が赤字となり、亀井建設大臣の時に「公団による販売が禁止」となったのです。その後は、公団の土地は大手民間業者に売却され、次々に採算性の良いマンション建設が進みました。
商業用地も民間に売却され、浦安市と公団との綿密な協議の上の街造りに従った建設ではなく、民間業者の独自計画による建設運営となり、浦安市の関与が薄くなってしまったのです。
その為、新町は当初の都市計画に従った街造り計画は崩れてしまい、学校用地がホテルになったり、シンボルロードに面するはずの商店街や駐車場はマンションになってしまい、街の賑わいが損なわれてしまったのです。
即ち、浦安で商売や起業をするには、大規模店舗のテナントに入るしかなくなり、テナント料として「売上げの20%を吸い上げられて利益を上げる商売などまず無い」ので、テナント企業のほとんどは営業本社系の支店しか入店できない状態となり、「埋立地で浦安に住む若い人が起業することがほぼ不可能な状況」となっているのが現況です。
イスラエルのように「若い人が起業できるような条件が浦安市にはほぼ無い状態です」から「埋立地での面白い新規の事業が創業できにくく」、本当に面白い店や楽しいしい店、美味しい店が少なく、「活気に溢れた街造りにはほど遠い状態」であり、「これでは将来の産業基盤が弱くなるし、住み易さにも問題が出てきている」のです。
この問題に気がついた浦安商工会議所では「インキュベーション施設(スタートアップと同じ趣旨の創業支援施設)」を当代島に創り、「創業支援セミナー」等を始めようとています。素晴らしい取組なので浦安市役所との共同活動になって、活動が活かされたらよいな、と思います。
なお、ここで創業支援をしても創業できる店舗・事務所が市内には確保できにくい状況なので、市役所による都市計画の見直しが必要になると思います。「業務施設、特に商売は人が来やすい駅前や大通り沿いになければ繁盛できません」。
例えば、やなぎ通り・大三角線通り・浦安行徳バイパス・宮前通り・シンボルロード等の両側50m幅で商業地域・近隣商業地域(300/80)に変更。その他の地域の12m以上の道路の両側50m範囲は第2種住居地域・第2種高度地域(200/60)にして、新浦安駅近くの入船4丁目は近隣商業(300/60)と第2種住居地域・第2種高度地域(200/60)にすれば、大きな道路の両側に6階建ての建物が建てられるようになります。
そこで1F~2Fは貸店舗として浦安で開業したい事業者が利用できるようになり、創業者が出店できる場所が確保できます。更に、3F~6Fは浦安市内では大きな産業の一つと言える賃貸住宅として利用することで若者を呼び込むことができます。街が発展する為には商業施設が人々の買い物の便と楽しみの便を叶える施設になり、人が集まり繁栄する元になるからです。
人口減少時代に入った日本では、働く場所である企業や店舗が起業しやすい環境を造らないと人が集まらないし、人口が減少して街がさびれることになります。浦安の場合は、東京に近い利点を活かして、ディズーニーリゾートを中心に人が楽しめる店舗を増やし、それに必要な企業を誘致する政策が求められている、と思います。官民力を合わせた「企業集め」「人集め」「住み良い街造り」の三つが今後の浦安繁栄の道である、と確信したイスラエルの旅でした。