おはようございます、小野です。
今日は、これまたよく質問される内容の「自宅を直すときにお隣に迷惑を掛けないで出来るか?」という疑問にお答えしたいと思います。
皆さんも既に耳にされたことがあるかもしれませんが、
液材を注入する工法によって傾き修正をしたお宅のなかには、
隣地にその液材が流出し、隣の家を破壊してしまったという事例が続出しているという報告が上がってきています。
では、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょう。
おそらく、浦安のように液状化しやすい埋立地のような場所でなければ、
このような修復時の隣地への影響は考えづらいのではないかと思います。
浦安市の地盤は砂質土であるため、
他の地域の軟弱地盤に比べるとはるかに粘度が低く、
砂の粒子が緩詰めであり、更に地下水位が高いという
液状化するための条件をすべて満たしてしまった軟弱地盤です。
そのため、他の地域に比べると、
液材が隣地に流出しやすい、“緩く・水分を多く含んだ地盤”であることを認識しておく必要があります。
そのような地盤に対して、粒子の細かい液材を圧入(圧力を掛けて注入)すると、
液材の圧力が土粒子の締まる力より大きくなってしまう場合があり、
周囲の土を押しよけるような形で、隣地にまで噴き出してしまうと考えられます。
これは、それぞれの土地の地盤によって可能性が変化するので、
注意しなければなりません。
隣地への影響については、防止が出来ないわけではございませんが、
100%の安心を考えられるのであれば、
傾き修正の工法としては土台上げ工法(プッシュアップ工法)しか選べなくなってしまいます。
なぜなら、この工法であれば基礎より上の建物を持ち上げるため、地盤にはほとんど触れないからです。
それ以外の工法は、すべて地盤を変化させることになり、
地面でひと続きになっている隣地への影響を0%にすることはできません。
判断するには、沈下量と建築面積、地質調査の結果に応じて、
過去の失敗・成功事例と比較し、危険度の高い工法を選ばないようにするほか方法は無いのではないかと思います。
特に根拠も無く「うちは大丈夫です」「絶対そんなことはありません」と言い切る業者には注意してください。
液状化地盤はこの度の地震によりその特徴が極めて特異であることが分かったため、
東日本大震災前までの施工事例はあてにならないからです。
では、また報告させ頂きます。