あるお施主様のお話しですが、
「次回の地震での液状化現象による被害を抑えていける様な工法で直したい」というご要望だったため、
浦安市内全体における施工可能工事の中から、
『グラウトアップ工法』を浦安での工事経験の豊富な業者に工事を依頼することになりました。
その工事の準備を進めるなかで、
最初に隣人A様より、注入工法による隣地への影響が不安ということで、
本工法の説明をするために訪問しました。
その際、A様のご自宅の修復を施工された業者の社長様が同席し、
本工法の周辺住宅に対する安全性が認められ、
A様にも安心して頂くことが出来ました。
しかし、
周辺住人の皆様に工事予定の挨拶をして回るなかで、
A様とは反対隣りのB様からも、地中に液材を注入する工法が不安なので、
説明して欲しいとの依頼を受け、明日訪問する運びとなりました。
実は、この地域(○○3丁目という狭い範囲です)では本工法とは違う工法での液材注入工法により、
隣地へ被害を与えた事例が一件あり、
その話からこの地域の自治会では、
「液材注入工法」に対して、
浦安市内の他の地域とは大きく違った見解が広まっている様子でした。
また、この地域の自治会では、地域の地下水位が高いにも関わらず、
地下水の溢れ出しや、その工事によって周辺住居が地盤沈下する可能性がある
耐圧盤工法やアンダーピンニング工法などの工法がベストであるという、
地域独自の見解が設けられているようです。
私たちは、
液状化対策工法として提案させて頂いている『グラウトアップ工法』については、
地盤工学会の専門家に直接ご教授を頂きながら、
この浦安エリアに適した工法として採用しているため、
これまで自信を持って施工をしてきました。
だけど、この地域で『グラウトアップ工法』を行うことが、お施主様の満足に繋がるのか疑問に思い始めました。
たぶん、お隣のB様は明日訪問して説明をすればA様と同じように納得して頂けると思います。
でも、この地域の全世帯に挨拶でお伺いして、すべての人に説明することはできません。
だから、この地域の皆さんが警戒する「液材注入で直した」という話だけが一人歩きしてしてしまい、
工法の理解をせずに、お施主様のことを悪く思う人達は現れるんじゃないかと思っています。
お施主様がその様に思われてしまう可能性があるなかで、
ご要望を叶えるためだからといって本工法を選んで頂くことが、
正しいことなのかどうか、分からなくなりました。
どうすれば最終的に、お施主様に満足して同じ土地で幸せに暮らして頂けるのかを最優先に考えて、
工法の提案をしていかなければならない使命を感じております。
少しシリアスな内容になってしましましたが、
工法選びは様々な要因が重なることを皆さんに発信することが出来ていれば、
幸いに思います。