こんにちは、小野です。
これから新築や建て替えをお考えの方には、
「絶対にこれまでと同じ方法で家を建ててはいけない」
ということを知って頂きたいと思います。
日本の住宅と海外の住宅の大きな違いは、
『家の寿命の短さ』です。
日本の住宅の短命さは世界トップクラスです。
現在、日本の住宅は平均約30年で建替えられており、
住宅の寿命は20?30年だと思い込んでいる人がほとんどです。
日本以外の国を見てみると、
例えばドイツでは79年、アメリカで103年、イギリスでは141年が平均寿命という報告があります。
それに対して、現在、日本のハウスメーカーのほとんどが、
30年で建替えなければならない住宅を提供している事実を皆さんはご存知でしょうか。
それは、戦後の高度成長社会における、それまで不足していた住宅の急速な普及が原因であると解明されています。
ビニール・プラスティック・化学繊維・集成木材などの新建材を量産し、
大工や職人の技術を必要とせず、
早く簡単に家という名の「箱」が作られるようになってしまいました。
残念ながら私たち日本人は、
『住宅は、新築したときが一番価値が高く、年月を重ねるごとに資産価値は消費され、最終的には0円になる』
という、世界で唯一間違った考え方を持つ社会が出来上がってしまいました。
ただ、企業側からしてみては、
20?30年サイクルで建替えて、数千万円のお金を落としてくれる、
日本人の考え方を変えたいとは考えないでしょうね。
常に、エコロジー、エコノミー、環境性能を考えてきた日本の自動車メーカーが海外で成功を収めているのに対して、
日本の住宅メーカーがこれまで海外で大きく展開できなかった理由はここにあるのかもしれませんね。
さて、住宅が100年以上使用できるようになると、
具体的に何が変わるでしょうか?
正解は、「裕福度」です。
まず、家の築年数が古くなっても資産価値が落ちない。
それどころか、アメリカやヨーロッパでは築年数が高いほど「人々から長く愛されている証」として価値が高くなるのが常識となっています。
更に、日本人は寿命の短い住宅に稼ぎの大半をつぎ込んでしまっているのに対して、
一つの住宅を自分の息子の世代、孫の世代、ひ孫の世代へと譲り渡す彼らは、
平均年収は日本と同じでも、私たちよりも裕福な生活を送っているのです。
更におもしろいことに、海外の銀行は住宅ローンを融資する際、
必ず家屋調査をします。
日本では住宅ローンを組む際に、家を調査することは一切ありません。
その変わり、必ず団体信用生命保険に加入することが条件となっています。
要するに、
日本では『人の収入と生命保険を担保』にお金を貸すことに対して、
海外では『家の価値を担保』にお金を貸しているのです。
この違いを象徴するものが、ローンの返済が滞ってしまった際の競売に見られます。
日本でも、海外でも競売はございます。
「ローンが払えないなら、家を売って金を返せ」という制度です。
しかし、
海外では競売と引き換えに残されたローン(債務)が帳消しになることに対して、
日本では競売で安く売り飛ばされてしまううえに、ローン債務は残り、借金地獄は続くことになるという大きな違いがあるのです。
このように、
長持ちする良い家を作る風土が染み付いた国では、
執拗に借金に追われることも無く、
収入のほとんどを生活費や娯楽費に充てられるため、
とても裕福な暮らしが実現しているのです。
高度成長社会が終わり、
人口や世帯数が減少し、低迷している経済下にある今の日本では、
これまでと同じように30年で価値が0円になってしまう住宅を提供し続けていては、
一部の富裕層以外の人々は、
いつまでたっても裕福に暮らすことが出来ないと思います。
では、100年以上使用できて、家族が裕福に暮らせる家を作るには何を変えれば良いのか?
今の日本の置かれる現状を考えると、
ドイツの住宅から学ぶことが一番望ましいと私は考えます。
それは、
ドイツが原子力発電所に一切頼らずに電力を供給する経済政策を決定しました。
その背景には長寿命かつ、低燃費な住宅を普及させた実例があるからこその決定ではないかと思います。